「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」

「幼保連携型認定子ども園 教育・保育要領」

  主に 感性と表現に関する領域「表現」 から

 

   『杏の木』だと信じていた木の所で

 「梅のシロップ作りをするんだよ」

 と5才児さんが収穫する姿を見て、『杏の木』じゃなかったんだということを知り、またずっと観察していた大きく育った実が、どんどん収穫されていく様子に残念そうな3才児さん達。

 しばらくすると、みんなそれぞれこどもの森(園庭)で遊び始めました。

 そんな中、Kちゃんはずっとその場を離れず5才児さんの様子をじっと眺めていました。

 

 「杏の木じゃなかったのかな…?」

 とつぶやくと

 「あんずなのにね!」

 とKちゃん。

 

 その時の真剣な表情に、私は

 〈いずれ杏の木と梅の木の違いは分かってくるはず…。〉

 〈今Kちゃんが梅の木を杏の木として見つめ、対話している姿や木への思いに寄り添いたいな〉

 と思い、一緒に木を眺めていました。

 

 その日の夕方、Kちゃんはこどもの森へ行くと、真っ先に杏の木(梅の木)の所へ行き、

 「まだ(実が)あるよ!」

 と、ほっとした表情で私に教えてくれました。

 

 対話的であるということの対象は、人に限りません。

 様々な環境に主体的に関わりそして対話する。

 このエピソードには、Kちゃんの主体的に対話する姿があると思いました。

 『杏の木』だと思っていたのに、「梅の木だよ」と5才児さんが楽しみに観察してきた実を次々と収穫する姿に悔しくて悲しくなったのかもしれないし、これは『杏の木』なんだと信じる思いと同時に不安を抱いていたのかもしれません。

 

 何事にも真剣に向き合うKちゃんの感性は、やがて自分で感じたり考えたりしながら、より表現する力へとつながっていくと思います。

 

 今は彼女自身で思いを巡らせてみたり、知っていることから連想したりして試行錯誤を繰り返している育ちを大切にしたい、そしてこれからもKちゃんのありのままの姿を見守り共感し、また時には問いかけることで気付きを促し、表現の世界を広げていきたいと思います。

杏の木と梅の木.jpg

「幼保連携型認定子ども園 教育・保育要領」

  主に 感性と表現に関する領域「表現」 から

 

 初夏の風が吹く5月になり、こどもの森(園庭)はいろんな草花や虫でいっぱいになりました。

 はと組(2才児)さんは虫がブームになり、子ども達はだんご虫の帽子をかぶり、それぞれに虫かごを持って保育者といっしょに虫を探していました。

 そんな中、虫が大好きなIくんは虫を見つけても、まだ触れることが苦手な様子でした。

 お友達や保育者が見つけた虫を興味深そうにいつも眺めていまいた。

 ある日、私がお友達と虫探しをしていると、お部屋から虫かごを持ってきたIくん。

「Iくん、虫さんつかまえたの!?」

 とたずねました。

 すると、少し微笑んだ表情で虫かごのふたを開け、中を私に見せてくれました。

 そして、近くにあった落ち葉や花を虫かごに入れ始めたのです。

「虫さんにご飯入れてあげてるの?虫さん嬉しそうね」

 と気持ちを伝えると、虫かごの中を満足そうに眺めるIくんでした。

 

 実はIくんが興味深く眺めたり、えさをあげたり、お世話をしてくれていた、そして私に見せてくれた大切な ″虫“というのは、″トイレットペーパーの芯を虫に見立てたもの”だったのです。

 私はIくんの、こころの中にある″虫のイメージの世界“に少しだけ触れることができたような気がして、とても幸せな時間でした。

 子どもは環境と関り、様々な感覚を味わう際に、保育教諭等もその感覚を一緒に楽しんだり、感覚とイメージを結ぶ言葉を添えたりすることで、子どものイメージはさらに膨らみ、感性も豊かになっていきます。

 これからも私自身が感性を豊かに持ち、共感をもってIくんの気づきや思いを受け止めていくことを大切にしたいと思います。

はと組写真.jpg

『幼保連携型認定こども園 教育・保育要領』

主に 育ってほしい姿「健康な心と体」

         五領域「人間関係」より

人間関係の深まり.JPG

​いつものように、園庭に遊びに行ったある日の

こと…。

園庭にいくなり、5才児の男の子が向かった先

は、1歳児のMくんのもとでした。二人で足元を

見てなんだかとても楽しそうな様子…。

私もカメラを構え近くに行きましたが、あまり

近づいてしまうと私の存在に気づき、やめて

しまうと思い、少し離れたところからそっと

見守ることにしました。

最初は1才児のMくんの様子を上から静かに覗き

込んでいましたが、だんだんとMくんの目線に

合わせ、優しい眼差しで見守ったり、話しかけ

てくれていました。

その姿を見て、私もほっこりとした気持ちに

なりました。

入園したころは、新しい環境への不安な思いと

頑張らなければという思いで沢山葛藤していた

5才児のSくん。

しかし、少しずつ友達に目が向くようになり、

友達という存在の大切さを知り、楽しさは

もちろん悔しさや悲しさという経験を積み

重ねる中で充実感や満足感を味わえるように

なりました。

この経験の積み重ねが今では幼い友達にも心を

通わせ喜び合うSくんの​心の成長につながって

いると思います。

人と関わる力を育む上では、自分のやりたい

事に取り組むことを基盤とし、友達と様々な

感情の交流をし、より生き生きとした深みの

ある人間関係を広げていく事が大切です。

これからもSくんが安心感の中で自己を発揮し、

さらに人間関係を深めていけるよう、Sくんの

目には見えない心の声を聴き、​共感していき

たいと思います。

※この文章・写真は、保護者様のご了解を得て

掲載しております。​